内臓由来の腰痛


年末年始は、忘年会や新年会等で飲み会が続いたり、お正月休みがあったりと、普段よりお酒を沢山飲んだり、過食をしてしまいがちな時期ですね。


そんな飲み会シーズンは、ギックリ腰が増える時期でもあります。


その理由の一つに、「内臓の問題」が考えられます。もちろんそれ以外にも、冬の寒さや、年末の忙しさからくる疲労の蓄積など、様々な要因が積み重なっているのでしょうが、今回のコラムでは主に消化器系の内臓(胃腸や肝臓など)からくる腰の問題について解説していきたいと思います。

 

内臓の問題と言っても、今回取り上げるのは、重篤な病気ではなく、いわゆる「食べ過ぎ・飲み過ぎ」による内臓の酷使、使い過ぎによるものです。

 

内臓は、ご存じの通り、様々な臓器によって、食べた物の消化、栄養の吸収、毒素の分解、老廃物の排泄、など人間が生きていく上で欠かせない生理的な働きを担ってくれています。


胃で食べた物を消化し、腸で栄養を吸収し、肝臓でアルコールを分解、などなど、莫大な量の仕事を、いちいちお願いしなくても、生きていくために、起きている間も寝ている間も絶え間なく、黙々と働いてくれているのです。


ですが、身体は機械ではありませんので、当然限界はあります。普段、朝から夕方までしか働いていない人が、急に24時間勤務で休みがない生活を送るようになったら倒れてしまうのは当然のことでしょう。年末年始の暴飲暴食によって許容量を超えてしまうと、内臓が悲鳴をあげ、結果的にそれがギックリ腰などの急性症状を引き起こしてしまうのです。

 

具体的なメカニズムとしては、食べ過ぎ・飲み過ぎによって、内臓が食べ物やアルコールを消化・分解しきれず、内部に「炎症」を起こします。その炎症による反応が、内臓から背骨に行く神経に影響を与え、いくつかの背骨がロックしてしまうような状態を引き起こします。


また、物理的にも臓器と背骨は繋がっていて、例えば、小腸を包んでいる「腸間膜」という組織の根っこの部分は、背骨の「腰椎」の部分から骨盤の「仙骨」の右側まで広がっています。他にも、肝臓の上面を覆っている「横隔膜」は、「脚(きゃく)」と呼ばれる部分がしっぽのようにのびて、背骨に固定されています。胃も、胃に至る前の「食道」の部分で横隔膜を貫いています。ですので、肝臓や胃の緊張が横隔膜にも伝わり、それが関節的に背骨まで繋がっているのです。


要は、内臓の問題によって、神経を介した緊張が起こることに加え、物理的にも背骨が引っ張られたり、ロックされた状態になってしまうということですね。

 

そのような状態にあるときに、重い物を持ち上げたり、急に立ち上がったりすると、固定された背骨にさらに無理がかかり、ギックリ腰を引き起こしてしまうことになります。


このような症状に対して、痛みが激しい間は安静にし、冷やしたりして炎症が引くのを待つことと思います。そこまではまだいいのですが、激しい痛みが引いた後に、より良くしようとして、腰の筋肉をマッサージしたり、ストレッチすることなどは、対症療法に過ぎず、また、内臓に引っ張られている背骨がそれ以上動かないように頑張っている筋肉を緩めてしまうことで、逆に悪化してしまう可能性も考えられます。

 

こんなときはオステオパシーの治療をお勧めいたします。オステオパシーは、骨や関節、筋肉だけでなく、内臓に対しても施術することができ、痛みや不調の根本的な問題を見つけ出し、それらを取り除くことで、身体をより良い状態へと導いていきます。

 

年末年始にギックリ腰になってしまわれた方、そこまではなっていないけれど暴飲暴食をしてしまった自覚のある方、普段から食べ過ぎ・飲み過ぎの方。内臓がとても疲れているかもしれません。是非オステオパシーを受けて、内臓を含めた全身のケアをなさってください。


痛みや症状が改善することはもちろん、より治りやすく、活力のある身体へと変化していくことを実感できるはずです。

 

今回はギックリ腰に焦点を当てて書いてきましたが、食べ過ぎや飲み過ぎは、当然内臓自体の病気の引き金にもなりますし、積もり積もれば、がんや心臓病など重篤な疾患を引き起こすリスクにもなり得ます。普段から食生活には十分お気を付けください。

また別のコラムで食事について記事を書きたいと思います。

 

読んでくださり、ありがとうございました。

AUTHOR この記事を書いた治療師

  • 腰に症状がある方の多くが、腸間膜の硬さなどの内臓の問題を抱えており、食生活に改善すべき点が見受けられます。オステオパシーに関心を持ってもらうことはもちろん、食事が内臓に及ぼす影響を知っていただきたく、この記事を書きました。