今回のコラムでは、オステオパシーの特徴の一つとも言える、「複数人でのオステオパシー施術」について書いていきます。
一般的な徒手療法、手技療法では基本的に一人で施術を行うことがほとんどかと思います。中には何人かがかりで乱雑にマッサージしたり、非常に危険な方法で骨を鳴らしたりする方法もあるようですが、それらは同列に扱うものではないでしょう。
体験したことがある方でなければ想像しにくいと思いますが、オステオパシーでは、1人の患者さんに対し複数人のオステオパス(オステオパシーを行う人)が施術する方法があり、通常1人で行う施術よりも相手の身体に強力に働きかけることができ、より効率的に治療を行うことが可能です。
ざっくり言うと、2人で行う場合、一つの問題に対して2人で取り組むことになるので、「パワーは2倍、時間は半分」になるわけです。
実際の臨床では、1人の患者さんの身体を初めて扱ったときに、問題が一カ所であることはまずなく、複数の問題がお互いに影響を及ぼし合っていることがほとんどです。そのことによって、より問題が複雑化し、長年に渡る症状や日常生活に支障をきたすような不調を引き起こしていることも珍しくはありません。
その複数の問題に対して、1人で治療を行う場合は、まず様々な検査をし、病変(悪いところ)の優先順位を付けていくところから始めます。
なぜかと言うと、問題の強い病変であればあるほど強力なエネルギーを持っており、それを取り除かないと他の病変の治療自体がスムーズに行えないからなのです。要は「邪魔をされる」わけですね。
ただ、同じくらい強い問題が複数あることも多々有り、その場合はどちらかを選択して治療を始めはするのですが、他の病変が邪魔をすることによって、一つの病変を取り除くのに時間がかかることも多いのです。
それ以外にも、手足の細かな問題等は、紙の四隅を画鋲で留められているようなもので、大きな問題ではなくともスムーズな治療の妨げになることが多く、そのような場合も必要以上に時間がかかります
上記のようなケースに対して、複数人で治療を行うことにより、複数の問題を同時に取り除くことができ、より短い時間で、効率よく治療を行うことができるのです。
また、病変が一つに絞られたときには、一つの問題に数人がかりで臨むことができるので、より強力に治療を進められる、というわけなのです。
ご理解いただけましたでしょうか?
私自身も、F.O.S.G.(フルクラムオステオパシースタディグループ)の仲間であり、オステオパシーサーチにも登録されている鹿児島のオステオパシー治療院『Release Heart』の渡邊裕隆先生と、2人で1人の患者さんの治療を行う「ツーマンオステオパシー」を、福岡、大分、鹿児島で開催しております。
始めたのは昨年からですが、その治療効果の高さに、実際に施術を行っている私達自身も驚くばかりです。
上の方に「パワーは2倍」と書きましたが、体感としては3倍も4倍も効果があるように感じます。もちろん測りようはないのですが。
今はまだツーマンオステオパシーを行う機会も限られており、開催頻度も多くはないですが、これからもっと沢山の場所で、いろんな先生達と一緒に治療することができたら良いなと考えています。
ツーマンオステオパシーを通じて、受けていただいた皆さんの健康的な生活に寄り添い、オステオパシーの輪を広げていけるよう、これからも継続して開催していきたいと思います。
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